8月6日に開幕した第88回全国高校野球選手権大会の3日目第4試合に八重山商工が登場した。
八重山商工の試合を観戦するのは、沖縄大会以来約3週間ぶり。彼らが甲子園でどういう試合をみせてくれるのか楽しみでならない。
いてもたってもいられず、とうとう甲子園まで来てしまった。

試合が予定されていた8月8日は、沖縄も兵庫も台風が接近中。雨天中止に帰りの飛行機欠航という最悪のケースも承知のうえでの英断。子供同伴に翌日はUSJへという嫁の条件提示もあっさりのみ、甲子園へ。

甲子園球場

8月8日の試合日程
甲子園に着いたのが午後3時前。
3塁側アルプスは満席でチケットなし。結局3塁側ベンチ横のカメラマン席の後方、前から4列目に座席確保。
席に着いたときは、まだ第3試合の倉吉北−松代の試合中でこちらも白熱したゲーム。

倉吉北−松代

追いすがる松代を7回表に倉吉北が突き放したときは勝負あったかにみえたが、脅威の粘りで松代が追いつき延長へ。
延長11回の末、松代がサヨナラ勝ち。

この3日目は第1試合から好ゲームが続いたこともあり試合開始予定は大幅に遅れ、八重山商工がグラウンドに姿を現したのが午後5時頃。
1塁側内野席は空席が目立つが3塁側内野席は8割程度の埋まりよう。八重山商工の応援はアルプスに集中し、3塁側内野席は一般のお客さんが中心。

八重山商工・試合前

千葉経大付−八重山商工・試合前

午後5時35分試合開始。

試合前の整列・千葉経大付−八重山商工

八重山商工の先発は大嶺。
これ以上ない立ち上がりで、スタンドからも『速い』という声が聞こえてくる。
ほとんどのお客さんがスコアボードのスピード表示に注目。

八重山商工・大嶺投手

2回終了と同時に照明点灯。

2回終了後照明点灯

八重山商工は初回のチャンスに先制できず、逆に千葉経大付は最初のチャンスに先制。追加点も上げ5回終了時点で4−0。八重山商工打線は初回以来音なし。
思わぬ苦戦にスタンドもざわめき始めた。

『思わぬ苦戦』と表現したが、甲子園の予想は難しい。
一発勝負のトーナメントのうえに出場するチームのことをほとんどの人が知らない。
名前は知っていたりデータ上は把握していても実際にみたことがないチームばかりである。スポーツ紙等他人の評価を買ってそれぞれが予想したりするのだが、そういう自分もまったく同じで千葉経大付の試合は、千葉大会決勝の録画放送を1試合みただけである。

あの拓大紅陵戦での千葉経大付は終盤追いつかれ、流れは完全に拓大紅陵かと思われたがレフトを守っていた一年生の内藤が好リリーフ。縦に大きく割れるカーブを多投し拓大紅陵打線を翻弄。延長の末千葉経大付が甲子園への切符を手にした。

この試合だけをみて千葉経大付のことはある程度わかっているつもりでいたが、実際はまったく違った。予想をはるかに上回るいいチームで、さすがは激戦区千葉の代表校である。ミート中心のコンパクトな打法で大嶺のストレートを狙い打ち。エースの竹島もスライダーをコーナーに集め、凡打を繰り返す八重山商工打線。
逆に八重山商工の大嶺はストレートを合わせられ、力めば力むほど球は高めに浮き、変化球も制球が悪い。

それと、問題の守備。
まさか甲子園の大舞台でも八重山商工らしい守備をみることになろうとは・・・
大嶺の一塁へのカバー遅れの内野安打、暴投、悪送球とフルコースみせられた感じである。

6回表に久しぶりに八重山商工がチャンスを迎えたところから、ようやく3塁側が盛り上がった。4−1とし走者を二人置き金城賢がレフトポール際にあわや同点ホームランというファールを打った場面では、大歓声とともに3塁側は総立ち。
勢いはとまらず続く7回、ようやく八重山商工が同点に追いついた。

8回裏の信じられない守りで2点を失い6−4とされたが、不思議なことに『負け』はあまり感じなかった。
テレビで観戦しているほうがわりと冷静に状況を把握でき、応援する側にも『あきらめ』がよぎるのだが、スタンドで観戦していると『まだまだいける』という気持ちのほうが強くなるから不思議だ。3塁側は一般のお客さんも一緒になって八重山商工を応援し始め、スタンドはこれ以上ない盛り上がりようだった。

9回表、1点を返したあとの二死走者なしでの東舟道の左前打に続く金城長の粘りの打席では、さすがに緊張度120%でシビれた。
ファールで粘るたびに、ため息にも似たどよめきと悲鳴が上がる3塁側。

金城長が粘ってつなぎ、羽地のレフト前への痛烈なヒットで同点に追いついたときの大歓声とあの興奮は一生忘れられないだろう。

9回表・八重山商工が同点に追いついた直後の3塁側

大激戦は延長10回で決着。
八重山商工が逆転勝利で初戦を突破した。

試合終了

試合終了後は、ともに八重山商工を応援した見ず知らずの一般のお客さんたちと握手。アルプス席での応援もいいが、一般席でも十分に楽しめた最高の試合であった。

試合終了後の甲子園

この逆転劇、終盤での八重山商工の粘りと攻めの気持ち、それに尽きると思う。
甲子園に限らず高校野球の終盤での逆転劇には、往々にして勝利目前のチーム自らエラーや四球により崩れてしまい、逆転の機会をみすみす相手に献上してしまう試合があるが、この試合は違った。千葉経大付は失策や四球で崩れない。
八重山商工はとにかくバットを振り続け、連打で、力で逆転した試合だった。

試合終了後の八重山商工ナイン

日程が順調に進むと、2回戦は8月13日の第4試合で松代と対戦する。
ここまでくると、どこが相手であろうと簡単には勝てない。八重山商工には、初戦同様攻めの気持ちで悔いの残らない試合をしてもらいたい。

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