第88回全国高校野球選手権大会16日目は決勝再試合が行われ、早稲田実が4−3で駒大苫小牧を下し初優勝を飾った。16日間にわたり熱戦を繰り広げた今夏の甲子園も、延長15回引き分け再試合という球史に残る決勝戦とともに幕を閉じた。

白川のミットにボールがおさまった瞬間、早稲田実の初優勝が決まった。こん身の力をこめて投げ込まれた斎藤のストレートが、田中のスイングを上回った。

早稲田実対駒大苫小牧の決勝戦は、斎藤、田中という大会屈指の好投手を擁する両チームの対戦、両エースの投げ合いにも注目が集まった。

前日の延長15回引き分けも、この二人であったからこそ成しえた名勝負。互いの力を認め合い、一歩も譲らない激投は甲子園を完全に呑み込み、37年ぶりという決勝再試合へ。

最後の打者は田中だった。甲子園が選んだ最後の勝負も、斎藤対田中という今大会に相応しい幕引き。16日間にわたる夢の戦いは終わった。



今大会は、応援していた八重山商工が出場するということもあり、例年以上に甲子園に注目してきたが、奇跡ともいえる逆転劇や個性溢れるチームや選手が豊富で、観ているものを引きつけて離さない『甲子園』であった。

選抜の優勝、準優勝校が早々と姿を消したが、それを忘れさせるほどの白熱した好ゲームの連続。準々決勝の智弁和歌山対帝京は、『奇跡』としかいいようがない結末で負けた帝京にも甲子園の拍手は鳴り止まなかった。

甲子園3連覇を目標に、序盤にリードを許すも底力をみせての逆転勝利を経験し決勝まで勝ち上がってきた駒大苫小牧の戦いは素晴らしかった。3連覇はならなかったものの、甲子園の決勝に3年連続進出したのは見事。優勝こそ逃したが、他校から最も目標とされる強い高校に。
FIFAランキングのようなものが高校野球にあれば、間違いなく1位。この3年間で、南北海道代表校の甲子園勝率は大幅アップしたことだろう。

優勝した早稲田実は、斎藤を筆頭にいかにも『東京の高校』というクールでスマートなイメージがピッタリ。これほどマッチしている高校もおもしろい。このほか、代打だけで甲子園を沸かせた鹿児島工の今吉。豪快なスイングが持ち味の大阪桐蔭の中田。投げながら笑みを絶やさない静岡商の大野。一球投げるごとに表情をせわしなく変化させる八重山商工の金城長。と、個性派選手は挙げたらきりがない。

個性派たちは甲子園を大いに沸かせてくれる。強くても画一した選手ばかりだとおもしろみがない。個性あふれる強いチームを甲子園は望んでいる。

また、近年いわれ続けている高校野球の勢力図の変遷は、今大会も顕著に現れた。東北勢同士の2回戦対決、中国勢全チーム初戦敗退など、高校野球はますます戦国時代化している。

これで高校球児もひと段落。
といいたいところだが、準々決勝に進出した8校と3回戦進出校のうち4校は、秋の国体に出場する。プロ野球でいえば、オールスターのような高校球児の国体だが、甲子園を沸かせた球児たちは、普通の高校生より少しだけ長く高校野球ができる褒美をもらった。

地域性や話題性にあと押しされ、八重山商工も国体出場校に選ばれた。
伊志嶺監督ならオールスターモードはあり得ない。八重山商工は、甲子園モードで国体に臨んできそうだ。
1ヶ月後には国体に場所をうつして・・・甲子園の夢再び

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